渋谷系の始まり
そもそも渋谷系というのは良く分からない音楽のジャンルだ。リズムやビート、使用している楽器や音楽の調子という明確な規定があいまいで、まったく異なる音楽性をもっていても「渋谷系」とひとくくりにされていた。当時は「HMV派」「タワレコ派」で音楽性の違いを語っていた記憶がある。渋谷系は前者の「HMV派」になると思う。最近また注目され渋谷系の人気が再燃しているようだ。前回の渋谷系に続き、今回はちょっとだけ深く掘り下げた渋谷系の名曲をご紹介しよう。今回は偉そうに音楽評論家のような文章で進めていく(ツモリ)だ。
シブカル系(Shibuya-kei)
・Cornelius
Cornelius(コーネリアス)は、渋谷系音楽の中でも特に重要な存在であり、数々の楽曲やアルバムでその才能を発揮しました。Corneliusの本名は小山田圭吾(Keigo Oyamada)であり、音楽プロデューサー、シンガーソングライター、マルチインストゥルメンタリストとして知られる。 1997年にリリースされたアルバム『Fantasma』は、Corneliusの代表作の一つとされており、その斬新なサウンドとサンプリングの技術が高く評価。また、2002年にはアルバム『Point』をリリースし、その先鋭的なサウンドとユニークな楽曲構成が注目を浴びた。
・Fantastic Plastic Machine
Fantastic Plastic Machine(ファンタスティック・プラスチック・マシーン)は、日本の音楽プロデューサー兼ミュージシャンである坂本龍一(Ryūichi Sakamoto)のプロテジである田中知之(Tomoyuki Tanaka)によって1997年に結成されたプロジェクト。田中知之は、独自の音楽スタイルとセンスにより、Fantastic Plastic Machineとしての活動だけでなく、他のアーティストや映画のサウンドトラックのプロデュースも手がけてきました。彼の音楽は、ポップで軽快なリズムと洗練されたアレンジにより、多くのファンから支持される。
インディーポップ(Indie Pop)
・Love Tambourines
・COSA NOSTRA
コーザ・ノストラは1990年にFM YOKOHAMAでスタートした桜井鉄太郎、ピチカート・ファイヴの小西康陽、パール兄弟の窪田晴男が主宰するオーディション企画よりデビュー。1995年、Al Cooperのカバー「Jolie」がスマッシュヒット。この頃メンバーがようやく固定し、精力的な活動を行う。ちなみに私はFreeSoul「Vibes」収録のベニー・ラティモアのカヴァーヴァージョン(1973年)が好きだ。
・AIR
元BAKUの車谷浩司がソロ活動として始めたのがAIR。バンドブームの牽引役として活動後、渋谷系をも牽引していく。BAKUの頃と音楽性が異なるAIRは彼の才能が枯渇していないことを証明した。様々なジャンルの曲を消化し自分のスタイルにあわせていく天才肌といっていいだろう。1997年のデビューシングルから
ネオアコ(Neo Acoustic)
・Spitz
・Chara
エレクトロポップ(Electropop)
・Round Table
YMOのドラマー、高橋幸宏主催のインディーズレーベルコンシピオから1997年にデビューした北川勝利と伊藤利恵子によるユニット。ピチカートファイブやフリッパーズギターの残滓が強く残る音楽性だ。2002年からゲストヴォーカルにNinoを加え、ROUND TABLE featuring Ninoとして活動する。この頃は主にアニメの主題歌として楽曲を提供している。渋谷系が今ではアニソンになっているわけで、しかもどちらのジャンルも良く分からないジャンルのくくり方なのが興味深い。
・Genki Rockets
2006年にYoutubeで話題をかっさらった元気ロケッツ。元々はプレイステーションポータブルのソフト「ルミナス2」の挿入歌だったこの曲。2008年に発売開始され、人気となった。ヴォーカルは架空の存在であるが、後に安田レイとしてデビュー。現在ほぼアニメのOPやED曲を担当しているが見た目のよさと歌唱力は本物だ。ハウス系の曲はモデルがヴォーカルを担当することが多いが、安田レイも元モデルである。
渋谷系のブーム終焉後
渋谷系のブームは90年代後半ともなるとかなり下火になった。その後はアシッドジャズやハウス、トランスなどのブームだったり、メロコア、スカパンなど様々なジャンルが乱立してくる。渋谷系の良かった点はそれまで大手メジャーレーベルのみ聴いていた人たちが、インディーズレーベルまで幅広く聴くようになったこと。このおかげで選択肢が広がった。
それまではコアな人たちが細々とやっていた音楽にもスポットがあたり、アーティストも自身でレーベルを立ち上げ、レーベル独自の音楽性と商業性が成り立った点が渋谷系が流行った大きな功績だと思う。その後2000年代に入ると、インターネットが普及し、電波に頼らず良い音楽に触れる機会が多くなった。大手プロダクションしか作れなかったPVもYoutubeの登場で、大きく様変わりした。そんな中Youtubeで話題をかっさらうアーティストが登場。渋谷系が口コミだったの対し、2000年代中ごろはネットで広まった。
今の若い世代には信じられないかもしれないが、片田舎に住んでいたら、良い音楽に触れる機会はほとんど無かった時代から、ネットに接続すればクッソ田舎でも簡単に聴ける時代は、革命的だったのである。
最後に
2000年代に入ると渋谷系と呼ばれたアーティスト達もベテランの域になり、リスナーもそこそこいい歳のオジサン、オバサンになっていく。その後若い世代に受け入れられた音楽は大沢伸一、Fantastic Plastic Machine、Ramrider、TeddyLoid、Capsuleなどクラブ系と呼ばれる音楽がメインストリームとなっていく。これも良く分からないジャンル分けだ。しかしながら彼らの音楽にも渋谷系のエッセンスが感じられるだろう。ちなみに90年代から2000年代筆者がよく聴いていたのは「MadCapsuleMarkets、AudioActive、Dry&Heavy、Hi-Standard、HuskingBee、Kemuri」だったりして(笑)

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